VersaWorks 7開発ストーリー 第四部PROJECT STORY 02

第四部

開発を終えて~
VersaWorksのこれからと、ソフトウェア開発の未来
2025年3月27日、約2年にわたる開発期間を経て、「VersaWorks 7」は予定通りリリース日を迎えた。社外のユーザーからの声はまだこれからだが、営業部門や社内のデモユーザーからは、すでに好意的なフィードバックが寄せられている。

Y.A.“UIがシンプルになって、より誰でも使えるソフトになったね”という感想をもらえた時は、率直にうれしかったですね。まだスタート地点にすぎませんが、やって良かったと思える瞬間でした。また、これは他部署を通じて聞いた話ですが、これまでApple製品の使用比率が高かった教育機関やFABスペースなどにVersaWorksのMac対応をお知らせしたところ、すでにいくつかの施設で当社製プリンターの導入をご検討いただいているようです。今後の展開に期待が持てますね。

このインタビューの後に寄せられた営業部門の声によれば、内覧会や展示会などのイベントでも、「UIのわかりやすさ」や「Macにネイティブ対応したこと」、「Windows・Mac共通のUI設計」などが高く評価されており、特にMacを使用するクリエイターやデザイン業界からは、“待望の進化”として歓迎されているという。すでに「VersaWorks7」の登場をきっかけに受注につながった例もあり、ソフトウェアの魅力と、当社製品の強みである印刷品質・メンテナンス性・生産性の高さを掛け合わせることで、販売力のさらなる強化を果たしているという、確かな手応えがあるとのことだ。

そして、このプロジェクトを通じて、メンバーそれぞれが得たものは少なくない。ベテランも若手も、技術面でも精神面でも、大きく成長する機会となった。

T.K.新しいフレームワークやMac対応といった経験のない技術分野を扱いながらも、最後まで完遂できたことは自信になりました。技術の幅が広がったのはもちろんですが、“みんなでやりきれた”という達成感のほうが大きいかもしれません。

Y.N.リリース日はもう次のバージョンに向けた開発に移っていたのでそれほど感慨はなかったのですが、最初の目標だった“開発環境を整えて、もっとユーザーに価値を提供していく”という土台ができたことで、いろいろとやりたいことが広がっています。今、一番興味があるのは画像処理分野。3月27日はあくまでもマイルストーンという気持ちで、VersaWorksの進化を支えていきたいです。

K.K.エンジニアとしての自信を深められたな、というのが一番大きいですね。今回、UIのフレームワークを刷新したことでカスタマイズ性が高まり、UIデザインという面でもさらにレベルアップを目指していけるようになりました。これからユーザーからの意見も届き始めると思いますので、スピード感を持って開発に取り組み、今後も“快適なユーザー体験”にこだわり続けたい。それができるという確信が持てたプロジェクトでした。

また若手にとっても、今回の開発はキャリアの分岐点ともいえる経験だった。

T.H.リリースされた時は、とにかくうれしかったですね。入社して間もないうちから関わってきた製品が、世界の人に使われるソフトウェアとして世に出ていくのはやっぱり感動します。この経験は、きっと次の挑戦への大きな力になると思います。

W.Y.これほどの規模の集団開発は初めてでしたし、ローランド ディー.ジー.に息づく文化や強みを体感しながら学べる、とても貴重な経験でもありました。このプロジェクトを通じて、開発チームの一員としての役割と責任を深く理解することができたと感じます。自社製品であるVersaWorksは、リリースして終わりではなく、これからも成長が続くもの。VersaWorksや当社のプリンター技術に造詣を深めて、“自分が得意と言える領域”をもっと増やしていきたいですね。

このW.Y.の言葉にもあるように、VersaWorks 7はあくまでもリリースしたての「version 1.0」。開発チームの目線は、すでにその先を見据えている。

チームを代表して、Y.A.プロデューサーにその展望を聞いた。

Y.A.企画の時点からSaaSチームと密接に連携していた通り、次のステップではVersaWorksを起点にソフトウェアで収益を生み出すフェーズに移行したいと考えています。現時点でのVersaWorksは、まだユーザーにとっては“プリンターを使うための付属ソフト”。もちろんその通りではあるのですが、私たちはここに“追加でお金を払っても欲しい”と思っていただける機能を追加して、ビジネスツールのひとつとしての存在感を示したい。
ハードウェアの性能だけでなく、VersaWorksを使いたいからローランド ディー.ジー.製品を選ぶ。そう思っていただけるような価値をつくり込んでいくのが、今後の大きなテーマです。

T.K.あと付け加えるなら、社外のソフトウェアエンジニアのそのタマゴたちにも、“ソフトウェアのローランド ディー.ジー.”という認識を持ってもらえたらうれしいですね。また、VersaWorks 7は初心者にも使いやすいとの声もいただいているので、園児や小学生向けに「ばーさわーくす」をつくって、デジタルプリントに楽しく触れてもらう、そんな試みにも挑戦してみたい。
そうした取り組みを通じて未来の仲間たちに、“この会社に来れば、自分が誇りに思えるソフトウェアがつくれる”と感じてもらえる環境を整えていくのも、私たちの責務だと感じています。

「ローランド ディー.ジー.といえば、VersaWorksだよね」。
そう言われる日を目指して、チームはこれからも歩み続ける。