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【第1部】

上位機種と同等のUVプリントを
お客様に届けたい

2024年1月に発表された「VersaSTUDIO BD-8」。ローランド ディー.ジー.のプリンターラインナップの中でも、比較的コンパクトで導入しやすい価格帯のシリーズであるVersaSTUDIOの最新モデルだ。プロデューサーを務めたE.T.は、本機の特徴を次のように語る。

(E.T.)「VersaSTUDIO BD-8」は、これまで大型の上位機種でしか成しえなかったUVプリントを小型・低価格で実現した、デスクトップ型のUVプリンターです。オフィスの中にも設置できるコンパクトな機体ながら、プリントヘッドや使用インク、ソフトウェアなどは上位機種と同等となっており、初期投資を抑えながら、立体物への鮮やかなダイレクトプリント環境を整えることができるんです。

「VersaSTUDIO BD-8」の開発プロジェクトは、それまでローランド ディー.ジー.の製品がアプローチできていなかった市場の声を背景にスタートした。
企画のチーフを務めたA.S.が振り返る。

(A.S.)消費者の価値観やニーズの多様化により、スマホケースや文具、アクリルスタンドやコスメグッズといったさまざまなアイテムに加飾を行う小規模事業のお客様が増えています。
ただ、こうした立体物やさまざまな素材のプリントに対応するUVプリンターは初期投資が高く、また機体サイズも大きいため、小規模事業のお客様にはハードルが高いものでした。

(E.T.)当時、ローランド ディー.ジー.のラインナップの中では、A4サイズと一番小型だった「VersaUV LEF-12i」でも、幅で999mm・重さ85kgありました。さらに排気ダクトで脱臭装置と接続するので、それなりの事業規模がないと導入は難しかったんです。

このような小型・廉価なUVプリンターを求める声に応え、巷には低価格で小型のUVプリンターが続々登場していた。ただ、これらの製品の中には品質や安全面、サポートなどに課題のあるものが少なくなく、不安を抱えているお客様が多かったという。

(A.S.)中にはそうした廉価な製品の品質に耐え切れず、当社の「VersaUV LEF-12i」を導入したお客様もいらっしゃいました。そうしたお客様から「ローランド ディー.ジー.の製品は印刷品質も素晴らしく動作も安定している、おかげでビジネスもうまくいった」というコメントをいただいたこともあり、当社のUVプリンターを競争力のある価格で小型化できれば当社製品のシェアを拡大できると考え、企画側としては胸が高鳴りました。

こうして、小規模事業のお客様に選ばれるコンパクトで低価格なUVプリンター、開発コードネーム「ME08(仮称)」と名付けられた新型UV機の企画が始まった。
性能的には自信があるとはいえ、既に他社製品がひしめいている市場に後発で出す以上、あまりのんびりとはしていられない。そこでA.S.たちは、本機をMVP(Minimum Viable Product)開発という手法で進めることを決めた。お客様がどのようなものをどのようにエンドユーザーに提供したいと考えているかを起点に最小限の機能でリリースし、市場の声に応えながらアップデートしていくというものだ。
ただ、その“最小限”の定義は人それぞれで、その調整には苦労したとA.S.。

(A.S.)まず、お客様がどのような商品(アプリケーション)を作りたいと考えているか。機体のサイズにも直結する、最も重要な要素です。当初、本機の企画案ではコンパクトということでA6サイズのプリント範囲を考えていました。しかしUVプリンターのお客様の間で「スマホケースへの加飾」の需要が高かったことから人気のスマートフォンを調査すると、約8割のモデルがA6サイズでは収まらないことがわかり、最終的にA5サイズに決めました。
また、インクの色数でもホットな議論が交わされました。必要最小限ということで、当初は4色で進めるべきだという意見もありました。ただ、アクリルスタンドやコスメグッズなど、透明や濃色な素材に印刷するケースも多いと見込まれたことから白インクも必須と判断し、さらにさまざまな素材に印刷するためにはプライマー(下塗り)も付けたいということで、CMYKW(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック・ホワイト)+プライマーの6色としたんです。

(E.T.)結局、MVP開発というわりには、けっこう欲張りな仕様になりましたね(笑)